Classici giapponesi con furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Leggi 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.609 caratteri · 362 schermate
四
あとは、左右の障子とふすまに添って、村の煙火師ばかり、老若およそ七十余名もいようか、黒々と居流れたありさま、鎌倉山のごとく綺羅星ではないが、なかなか物々しい評定ぶりである。
四
兵助はもう六十に近い温容な山侍で、いつも胴服の背なかを丸くして、坐禅をくむように手を重ねたきりである。
「これで、揃うたようでございますが」
やがて、その兵助がいうと、蜂屋慎吾が、前から頭数を読んでいて、
「いや、まだ一人見えん」
と、自分の明晰さを誇るように、苦って見せた。
席の中程から、その遅刻の者に代って、いい訳することばがきこえた。
「へえ、その七之助ならば、実あ、草津にいる伯母の容体が悪いっていうんで、一昨日、山越えで見舞いに行きましたが、どんなことをしても、今夜までには帰って来て、顔を出すといっておりました」
「分るものか、みもちのよくないあの男のことだ。また権堂にでも入り浸っておるだろう」
「そんなことはございません。親も女房もないせいか、あいつの伯母思いは、誰でも知っておりますんで」
「まあいい、怠け者には、藩としても、それだけの労しか認めないまでのことだ」
慎吾は、七之助のいい評判をここで引き出そうとは思わない。