Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Leggi 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.609 caratteri · 362 schermate

Aozora Bunko

「男女が?」

「左様でございます」

「しかし、六年も過って、尋ね出したところで、安南絵の壺を持歩いているわけもなかろうし、金もねえと来たひには、どうにもならない話だろうぜ」

「武士ってうるさいものでして、家中の者たちは、左次郎も十九になれば、父の怨みを晴らすだろうとか、不徳な養母をあのままにして置く法はないなどと申します。また、縁類の者は、所詮、二百金の大枚を御返却することは出来ぬし、また殿様のお耳にも入っている品物の事だろう。その壺を手に入れる法がなければ、せめて、仲間の一平の首だけでも持って鳥取へ帰ってくれと、こう因果をふくめられました。――で江戸へ出て参りましたが、もう路銀も尽きました上に、養母のお咲と一平が、どこに暮しているものか、皆目、見当はつきませず、途方に暮れた末親方の部屋でお世話になるようなことになりました」

「そうか、じゃ二百両もする安南絵の壺よりも、その一平という奴の首を探して帰った方が、侍らしいし、第一、無償だから手に入れ易いというものだ」

「ところが生憎なんです」

「何が生憎だ」

「父が弱かったせいか、私も御覧の通りな虚弱でして、所詮、左様なことが出来るかどうか、心配に堪えませんので」