Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Leggi 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.609 caratteri · 362 schermate

Aozora Bunko

と気がついて見ると、千鳥湯という、いつも潜る暖簾が外してあったので、

「あっ……休みか」

弾かれたように、そこを出て、次の風呂屋へ飛んで行った。

ところが、そこの暖簾も仕舞ってあって、盲目格子がシーンと閉まっている。

いなせ者が多い深川のことだ。昼や朝湯がこう休みの筈はない。かれはその裏通りの喜撰湯を思い出して、一目散に駈け出した。

「休みだ!」

伝公は狼狽した。

血相をかえて、風呂屋の戸をガンガンと叩きながら、何か大声で呶鳴っていたが、カランという小桶の音も聞えない。

「ちぇッ」と、かれは地団太ふんで、さらに奔馬のような勢いで往来へ出た。もう思い出す湯はこの近くに小町湯とお豊風呂の二軒しかなかった。

「やッ、休みだ!」

唾を吐きかけるようにして叫んで、次の一軒へ来てみると、ここもまた申し合せたような休業札。

「今日は幾日だろう」

伝公はクラクラする頭を押えながら考えてみた。休み日じゃない! 風呂屋の休み日にしろ、こう揃って、何処も彼処も休みという筈がない。

それから伝公は気違いのようになって、湯屋湯屋と血眼で探して歩いたが、もう目眩と嘔吐気に堪らなくなったらしく、両手で頭を抑えたまま、真ッ青になって、自分の家に転げ込むや否や、