Classici giapponesi con furigana
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うたかたのき
泡沫の記
久生 十蘭
Leggi 泡沫の記 (うたかたのき) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.889 caratteri · 26 schermate
九時近く、王宮付の憲兵を非常召集し、扈従が総出で湖畔を隈なくたずねまわったが、これも徒労に終った。
十時十五分になって、馬車掛の使丁が、ぐっしょり水に濡れた王と博士の帽子を拾って帰ってきた。それでミュラー教授と庭番のフーベルが、帽子を見つけたという場所からボートを出し、岸に沿って北のほうへ漕いで行くと、十一時すぎ、レオニーという村から二キロほど手前の湖岸、四尺ぐらいの浅瀬に、王と博士が顔を下にして浮んでいるのを発見し、すぐさま岸にひきあげた。
王も博士も、どちらも完全に呼吸をとめ、脈も触れず、死後、数時間を経過していることがわかったが、それでも、四人の侍僕と三人の衛兵が、かわるがわる四、五十分間、人工呼吸を試みた。十二時になって、ミュラー教授は、これ以上、どういう試みも効がないと宣告し、十二時十分を崩御の時刻とすることにきめた上で、二人の遺骸を新城に運んだ。
五時間後、東が白むのを待って、入念な現場調査と実地検証が行なわれた。
王は博士と肩を並べ、(博士の右側に)ウルム湖に沿った小道を、レオニーのほうへ歩いていたが、現場まで来ると、持っていた洋傘を草むらに捨て、急に歩幅を大きくして岸から水の中へ走りこんだ。