Classici giapponesi con furigana
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はたのてい
波多野邸
豊島 与志雄
Leggi 波多野邸 (はたのてい) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.194 caratteri · 45 schermate
小池さんは呑気でいいわね。煙草を吸ったり、酒を飲んだり、薪を割ったり……。」
「そりゃあ、僕は男ですもの。まあ、謂わば書生ですね。」
「小池さんが書生なら、わたしは何でしょう……一種の女中ね。書生がすることを、女中はしていけないでしょうか。」
「それは面白い問題ですね。波多野さんに聞いてごらんなさい。」
「ええ、聞いてみるわ。」
「返事はきまってますよ。書生がすることは女中もして宜しい、人がすることは誰でもして宜しい……波多野さんならきっとそう言われますよ。奥さんの方は分らないけれど。」
「そうかしら。」
「然し、あなたは女中じゃありませんよ。」
「それでは、何なの。」
「家族の一人ですね。だから、少し窮屈なんでしょう。」
「違うわよ。まったく逆よ。いえ、こんなこと、男には分らないでしょう。やっぱり、男と女とは、立場が違ってよ。」
「そうなると、僕にはよく分りませんね。」
そんなことはどうでもよいという調子で、投げやりに言って、小池はまた空の方を眺めた。
いつのまにか、強い明るみが地上に流れていた。黒雲は東へと移動し続けていて、西空の濃い本拠が拭われるように薄らいでゆき、真綿のように透いてきて、日の光りさえも洩れそうになった。