Classici giapponesi con furigana
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つがるのむしのす
津軽の虫の巣
宮本 百合子
Leggi 津軽の虫の巣 (つがるのむしのす) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5198 caratteri · 10 schermate
が、藩公の力ではいかんとも為し難い常軌を逸した大偉力の前に、諸侯はただ戦々恟々(きょうきょう)として、ひたすら平穏に一日の過ぎることを祈ってるばかりである。ところが、いつとは無し藩中には、津軽の虫の巣御吟味という風説が立ち始めた。
誰も出所を知る者はない。が、その噂取り沙汰は、知らぬ者は無いほどの速さで、人の口から耳へ、耳から口へと語り伝えられたのである。
中には、何、ただの噂だろうと、さしたる注意を向けぬ者もあった。が、その風評は単に巷説に止まらず、事実津軽の城中では、それに就て事々しい評約が行われていたのである。
さてそれなら、左様に物議を醸した津軽の虫の巣とは、一体何をいうのだろうか。
津軽の虫の巣は珠である。ただ一顆(つぶ)の輝やく珠玉である。蝦夷地交易品の目録の中には青玉と記るされているその別名である。晴やかな青紫の円い小珠は、滑らかなその面を日に透すと、渾然たる瑠璃(るり)色が、さながら瞳の底、魂の奥へまで流れ入る。
人々はその光彩を愛でて珍重したのである。
ところがこの青玉が、ただそれだけのものであったら何も面倒を惹き起さなかったのだが、珠は名に反かず、他の玉石の持たないものを持ってる。