Classici giapponesi con furigana
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うきぐも
浮雲
二葉亭 四迷
Leggi 浮雲 (うきぐも) di 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.980 caratteri · 222 schermate
文三は振反ッて見て覚えず立止ッた。お勢が開懸けた障子に掴まッて、出るでも無く出ないでもなく、唯此方へ背を向けて立在んだままで坐舗の裏を窺き込んでいる。
「チョイと茲処へお出で」
ト云うは慥に昇の声。お勢はだらしもなく頭振りを振りながら、
「厭サ、あんな事をなさるから」
「モウ悪戯しないからお出でと云えば」
「厭」
「ヨーシ厭と云ッたネ」
「真個か、其処へ往きましょうか」
ト、チョイと首を傾げた。
「ア、お出で、サア……サア……」
「何方の眼で」
「コイツメ」
ト確に起上る真似。
オホホホと笑いを溢しながら、お勢は狼狽てて駈出して来て危く文三に衝当ろうとして立止ッた。
「オヤ誰……文さん……何時帰ッたの」
文三は何にも言わず、ツンとして二階へ上ッてしまッた。
その後からお勢も続いて上ッて来て、遠慮会釈も無く文三の傍にベッタリ坐ッて、常よりは馴々しく、しかも顔を皺めて可笑しく身体を揺りながら、
「本田さんが巫山戯て巫山戯て仕様がないんだもの」
ト鼻を鳴らした。
文三は恐ろしい顔色をしてお勢の柳眉を顰めた嬌面を疾視付けたが、恋は曲物、こう疾視付けた時でも尚お「美は美だ」と思わない訳にはいかなかッた。