Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うみにいくるひとびと

海に生くる人々

葉山 嘉樹

Leggi 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) di 葉山 嘉樹 (はやまよしき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 161.305 caratteri · 321 schermate

Aozora Bunko

そしてガサガサあわてながら、また五十銭銀貨を二枚つかみ出した。「スッカリ忘れてた」

「まだ忘れてるよ」三上は押っかぶせるようにいった。

船長は、五十銭玉を二つつかんだまま、ブルブル震えながら、そこへ突っ立っていた。早く帰りたいのになあ。チェッ!

「いくらいるんだね」とうとう船長はごまかし切れなくなってきいた。

「十円」三上は答えた。

「十円!」船長は、すっかり驚いた。二円出したことが彼にとっては、とても思い切った奮発だったのに。三上は十円を要求するのである。

「それや明日でよかないか」船長は明日は一切を解決することを知っていた。

「明日は明日だ」といったが、三上の心中には、今、口から出したくらいでは、とてもはけ切れない激怒の情が、その全身の中に爆発した。

「今夜帰れば途中で凍えるわい!」と、彼は、船長の頭の上から、ハンマーででも打ちおろしたように怒鳴りつけた。

「手前は帰ってかかあと寝る! おれたちゃ帰りに凍えるわい! この汗を見ろ!」

暗に見えなかったが、二人は外は飛沫にかかってぬれ、内は汗でぬれ、かわいたところは、その衣類にも皮膚にもなかった。彼らはそのまま、帰るということが不可能であることは、最初から感じたところであった。