Classici giapponesi con furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Leggi 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) di 葉山 嘉樹 (はやまよしき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 161.305 caratteri · 321 schermate
彼は、黙って、早く手当てを済ますに限ると思ったので、その手当てを急いだ。
かくして、イヒチオールはそれが、その本来塗らるべきところであろうと、または、傷をなして赤い肉の出たところであろうと、出血しているところであろうと、おかまいなしに塗りたくられた。また、いかなることが起きても、起こらなくても、ボーイ長の左半身全体をまっ黒くするということは、彼の三時間にわたる熟慮の結果であった。
そしてチーフメート黒川鉄男は、そのプログラムに従って他意なくやってのけた。何ら親味な情からでもなく人間的な気持ちからでもなく、安井――水夫見習い――は、その全半身にただ気やすめだけのイヒチオールを塗布された。それは義務を果たすための一つの対象にすぎなかった。
安井はうめいた。「おかあさん、おかあさん」と叫んで救いを求めた。そして目を開いては、絶望のどん底にまっ暗になって落ち込んでしまった。
彼は、からだの傷みと共に、堪え得ぬ渇と飢えとに迫られていたのだった。
六
安井の手当てがすむと、水夫たちは、改めて、食卓についた。そして、いつでもは安井がボーイ長の職務として、食事の準備、あと片づけ等はするのであったが、今日は、波田が引き受けた。