Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うみにいくるひとびと

海に生くる人々

葉山 嘉樹

Leggi 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) di 葉山 嘉樹 (はやまよしき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 161.305 caratteri · 321 schermate

Aozora Bunko

畳がまさに汚濁せる潮水のために浸ろうとする時、まさにその時期にかっきり達している彼の妻君は、生理上の法則に従って、赤ん坊を分娩した。その産褥の隣に、十二年以前からいかなる場所へでも横になって行く、痛風の彼の老母が臥せっていた。

太陽がだれをも待たないと同様な公平さと、正確さとで、その汚濁した潮水は、その水量を増して来た。叫喚があった。失心があった。泣き声が上がった。

この労働者は、盥に赤ん坊を入れた。そして押入れの上段に、できるだけ深く老母を押し込んだ。次に彼の妻君を、その手前に押し込んだ。その上で、この男は、自分自身赤ん坊をぼろでふいて、父親の正当なる責任を果たした。きわめて簡単明瞭なる事実であったが、その簡単であっても、その事のために入費がかかるということも明らかなことだった。ところが、どうしてこの男が母の薬代や妻のあと始末、それから子供への手当て、産婆への報礼などをすることができよう。それどころではなかった。彼は今まで、家族を養っていたA工場にも、出るに出られないありさまだった。畳はビショビショにぬれていた。床の下は魚でも住んでいそうだった。