Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
かいひんいちじつ
海浜一日
宮本 百合子
Leggi 海浜一日 (かいひんいちじつ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3953 caratteri · 8 schermate
「――一馬力ならいいんだって、ね……」
長椅子の隅に丸まって少女雑誌を読んでいた晴子が、顔を擡げおかっぱの髪を頬から払いのけながら、意を迎えるように口を挾んだ。
「そうなのさ」
母は益々不機嫌に、
「だから始っから、父様さえちゃんとしてとりかえさせておしまいになればいいのに――もう二年だよ、来るたんびに水が出ない、水が出ないって」
母は糖尿病であった。それ故じき癇癪が起り、腹が減り、つまり神経が絶えず焦々している気の毒な五十三の年寄りであったけれども、彼女の良人は、健康でこそあれもう六十で、深く妻を愛している矢張り一人の老人だ。佐和子は、結婚生活をする娘の独特な心持で両親の生活を思い、
「まあそう癇癪をお起しなさらない方がいいわ」
となだめた。
「父様だってああやって一生懸命やっていらっしゃるんだから――この次までに一馬力のにさせとけばいいじゃあないの」
発動機が動きだしたと見え、コットン、コットン水を吸い上げる音が聞えて来た。二三分して、再び止ってしまった。もう動かないらしい。扉をあけ、父がやめて来たかと思ったら、それはみわであった。
「まあ旦那様本当に恐れ入りますでございますね、お寒いのにあんなお働きいただきましては……」