Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かいなんき

海難記

久生 十蘭

Leggi 海難記 (かいなんき) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.628 caratteri · 56 schermate

Aozora Bunko

それで騒ぎになり、端艇をおろしてひき戻しに行くことになった。こんな些細なことがなぜみなを昂奮させたのかわからないが、誰も彼もむやみにあわて怒鳴ったり叫んだりした。傭兵どもは下艙で寝ていたが、そのうちの三人ばかりが騒ぎを聞きつけて甲板にあがってきた。誰もろくな返事をしないので、船が沈没しかけ、乗員が自分らだけ逃げかけているのだと速断した。

「船が沈む。おれらをおいて、逃げて行くぞ」

一人の兵隊が下艙に向って叫んだ。

「みな出て来い。殺ってしまうから」

傭兵達は銃をとって甲板に駆けあがり、出口をふさいで、船から出て行くやつは射ち殺すと口々に怒号した。当直士官が説得し、ようやく誤解はとけたが、兵隊の一部は銃を抱えて甲板に居坐り、夜の明けるまでそこから動かなかった。

舵の縺が切れ、夜どおし船腹にうちあたっては跳ねかえっていたが、その部分からすこしずつ浸水してきた。ご注文どおりの事態になったわけである。

「嵐がひどくなれば、真っ二つになってしまうだろう、しょうがない。軍艦を捨てよう」

ショオマレェは艦橋にあがって離船の告示をし、警備隊の兵隊に筏では装備を濡らすおそれがあるから、兵器は甲板に置けと命令した。