Classici giapponesi con furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Leggi 海難記 (かいなんき) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.628 caratteri · 56 schermate
だが、すべてを天命にまかせ、勇気をふるって前進しよう。神のゆるしたまわぬ罪業だけは、おかさぬように。フランス人は、同胞の血を啜ったの、肉を喰ったなどと言われないように戒心しよう。生涯、暗い罪の思い出に苦しむより、潔白のまま笑って死ぬ方がどんなにいいか知れない」
この訓示の趣旨からおすと、指揮者のアングラス中尉は、フランス人というものは、食うものがなくなるとすぐ Cannibalisme(人肉啖食)をやりだす種属だと思っていたのかもしれない。そうだとすれば、あまりに気をまわしすぎたというほかはない。フランスという旧教国では、中世の暗愚の時代でさえ、公然たるカンニバリスムということはなかった。だからこそ、この難破事件は一世の人心を衝動させ、何百万人かの食慾を奪ってしまったわけだが、実際にそういう先覚があったのなら、アングラス中尉はおどろくべき哲人だが、そんなことは信じられない。雑多な国籍をもった筏組の傭兵部隊にくらべると、アングラス中尉のひきいた一隊は比較にならないほど質がよく、フランスの正規兵、分管区の屯所長、書記官、医師、入植団の学術指導者たるクンメルという理学博士さえいたばかりでなく、セネガルの海岸地帯にはトラルザスのいろいろな種属や遊牧民の天幕があることが予想されていたから、最悪の場合を想像しても、