Classici giapponesi con furigana
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きえたミジアム
消えた霊媒女
大倉 燁子
Leggi 消えた霊媒女 (きえたミジアム) di 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.605 caratteri · 31 schermate
私のような物好きな女には何もかも物珍らしくって面白い処だったんですけれど――。ある時こんな事がありました。支那街の無頼漢が、鰐寺の縁日に行って喧嘩を始め、相手の男を鰐のいる池に投ち込んだというんです。投り込まれた男はそれっきり出て来ません。さあそれが評判になって鰐寺見物が多くなったという始末、どこの国でも野次馬は絶えないわけね。それで私も見物に交って早速出かけてみました。
かなり古いお寺で、その庭に大きな古池があって、鰐が五六疋いるので、それで鰐寺などと呼んでいるんですが、本当の名は別にあるんです。水が泥のように濁ってて、中なぞ何も見えませんが、少時立って水面を眺めていますと、池の真中ごろの処に小波が立って、軈てひょっこりと鰐が顔を出しました。いくら昼日中でもあの顔を出されては余り気味もよくないので、思わず飛び退きますと、いつの間に来ていたのか、私の後に一人の紳士が立っていて、その人に危く打つかるところでした。
見るから病人らしく痩せ細って、少し前屈みの肩が板のように薄く、背の高い、青い顔をした三十五六の日本人でしたが、どこかにその人の育ちを思わせる気品があり、誰の目にも出のいい人だという事が分るような物腰でした。