Classici giapponesi con furigana
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りょうみすうだい
涼味数題
寺田 寅彦
Leggi 涼味数題 (りょうみすうだい) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4617 caratteri · 10 schermate
昔から時々入り込んで来たシナやインドの文化でも宗教でも、いつのまにか俳諧の季題になってしまう。涼しさを知らない大陸のいろいろな思想が、一時ははやっても、一世紀たたないうちに同化されて同じ夕顔棚の下涼みをするようになりはしないかという気がする。いかに交通が便利になって、東京ロンドン間を一昼夜に往復できるようになっても、日本の国土を気候的地理的に改造することは当分むつかしいからである。ジャズや弁証法的唯物論のはやる都会でも、朝顔の鉢はオフィスの窓に、プロレタリアの縁側に涼風を呼んでいるのである。
この日本的の涼しさを、最も端的に表現する文学はやはり俳句にしくものはない。詩形そのものからが涼しいのである。試みに座右の漱石句集から若干句を抜いてみる。
顔にふるる芭蕉涼しや籐の寝椅子
涼しさや蚊帳の中より和歌の浦
水盤に雲呼ぶ石の影涼し
夕立や蟹這い上る簀の子縁
したたりは歯朶に飛び散る清水かな
満潮や涼んでおれば月が出る
日本固有の涼しさを十七字に結晶させたものである。
「涼しい顔」というものがある。たとえば収賄の嫌疑で予審中でありながら○○議員の候補に立つ人や、それをまた最も優良なる候補者として推薦する町内の有志などの顔がそれである。