Classici giapponesi con furigana
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りんらくのこうじょのおぼえがき
淪落の皇女の覚書
久生 十蘭
Leggi 淪落の皇女の覚書 (りんらくのこうじょのおぼえがき) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.649 caratteri · 56 schermate
「ロマノフ一族を死刑に処す。特別裁判にたいする助命の請願は存しない。受刑あるのみ」これだけだった。
アレクサンドラ皇后は両手で顔を蔽い、皇女たちはそこへ崩折れていそがしく十字を切った。廃帝は、「われわれはウハへやられる約束だったじゃないか」といい、その言葉が終らないうちにコルビンスキーが衝動的に拳銃の撃鉄をひいた。廃帝は左の胸郭のまんなかを射ちぬかれ、枯葉のようにゆらめいて前へ倒れた。皇太子以下九人はつぎつぎに小銃の連射をうけ、宣告書を読みあげてから五分とたたないうちにみな死骸になった。侍女のデミドヴァは枕で胸をふせぎながら大声をあげて階段の下まで逃げだしたが、あえなくそこで射ちすくめられ、末の皇女のアナスタジアはあまり泣き叫ぶので銃把で頭蓋を一撃され、それで永遠に沈黙した。
赤衛軍の兵隊は血の海のなかに倒れている十一人の犠牲者の衣服を剥ぎとり、皇女たちが非常の用に裾に縫いこんであった宝石をさがして仲よくわけ取りした。みな泥酔したようによろよろしていた。
この目ざましい分配が終ると、血みどろの兵隊たちはそれに劣らぬ赤ラック仕上げの死骸を一体ずつ古毛布に包みこみ、近くの森へ自動車で運びこんだ。