Classici giapponesi con furigana
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
Leggi 清貧の書 (せいひんのしょ) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.061 caratteri · 36 schermate
もともと、二人もの男の妻になった過去を持っていて、――私はかつての男たちの性根を、何と云っても今だに煤けた標本のように、もうひとつの記憶の埒内に固く保存しているので、今更「何ぞかぞ」と云い合いする事は大変面倒な事でもあった。
二
二人目の男が、私を三人目の小松与一に結びつけたについては――
お前を打擲すると
初々と米を炊ぐような骨の音がする
とぼしい財布の中には支那の銅貨が一ツ
叩くに都合のよい笞だ
骨も身もばらばらにするのに
私を壁に突き当てては
「この女メたんぽぽが食えるか!」
白い露の出たたんぽぽを
男はさきさきと噛みながら
お前が悪いからだと
銅貨の笞でいつも私を打擲する。
二人目の男の名前を魚谷一太郎と云って、「俺の祖先は、渡り者かも知れない。魚を捕ってカツカツ食って行ったのであろう」そういいながらも、貧乏をして何日も飯が食えぬと私を叩き、米の代りにたんぽぽを茹でて食わせたと云うては殴り、「お前はどうしてそう下品な女のくせが抜けないのだ。衿を背中までずっこかすのはどんな量見なんだ」と、そう云って打擲し、全く、毎日私の骨はガラガラと崩れて行きそうで打たれるためのデクのような存在であった。