Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せいひんのしょ

清貧の書

林 芙美子

Leggi 清貧の書 (せいひんのしょ) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.061 caratteri · 36 schermate

Aozora Bunko

それから、――幾月も経たないで、正月をその場末のカフェーで迎えると、また、私は三度目の花嫁となっていまの与一と連れ添い、「私はあれほど、一人でいたい事を願っていながら、何と云う根気のない淋しがりやの女であろうか」と云う事をしみじみ考えさせられていた。

三

「君は前の亭主にどんな風に叱られていたかね……」

与一は骨の無い方の鰺の干物を口から離してこういった。

「叱られた事なんぞありませんよ」

「無い事はないよ、きっときつい目に会っていたと思うね」

私は骨つきの方の鰺をしゃぶりながら風呂屋の煙突を見ていた。「どんなに叱られていたか」何と云う乱暴な聞き方であろう、私は背筋が熱くなるような思いを耐えて、与一の顔を見上げた。与一はくずぬいて箸を嘗めていた。私は胃の中に酢が詰ったように、――瞼が腫れ上って来た。

「どうして、今更そんな事を云うの、私を苛めてみようと思うンでしょう、――ねえ、どんなに貧乏しても苛めないで下さいよ、殴らないでよね、これ以上私達豊かになろうなんて見当もつかないけれど、これ以上に食えなくなる日は、私達の上に度々あるでしょうし、でも、貧乏するからと云って、私の体を打擲しないで下さい。