Classici giapponesi con furigana
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たにさんだい
渓三題
木暮 理太郎
Leggi 渓三題 (たにさんだい) di 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6066 caratteri · 12 schermate
水が澄んでいればいる程、渦巻く淵の色は飽まで紺碧に冴えて、その中では蛇体の如く蜿曲した力強い水の幾うねりが無数の気泡を含みながら、白い尾を曳いて絡み合い縺れ合い、ぐらぐらと湧き上ったり沈み返ったりしているのが見える。それが淵から溢れて急な河床を矢のように奔下する際、水底に蟠る巨岩に激して、其上を滑るように躍り超えると、高く擡げた波頭が白く砕けて、雪を噴く瀬の音が谷一ぱいに鳴りどよめく。この紺碧の淵と雪白の瀬とは水の清い谷川でなければ見られない。
次には美しい渓流の母である森林を挙げたい。雨が降るとすぐ川水が濁るのは、森林に乏しく崖崩れが多い為で、従って大洪水の原因となることが稀でない。深い森林の懐に育まれた谷川は、如何なる大雨が降り続いても決して濁らぬ。森林は洪水の害を緩和し、流水を澄徹ならしめ、空気を清浄ならしめる。深い森林と澄める水と清い空気とは、山容水態を美ならしむる所以であって、若し森林がなかったならば、如何に谷が入り込んでいようとも、幽邃の趣は終に見ることを得ないであろう。花も咲かず鳥も歌わぬ赤裸の渓間では恐らく仙人と雖も一日も暮されまい。