Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

Leggi 渡良瀬川 (わたらせがわ) di 大鹿 卓 (おおしかたく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 280.528 caratteri · 557 schermate

Aozora Bunko

「だが、考えようによっては、山県がこんな不面目なことまでして星一派の機嫌をとるようでは、藩閥の力も案外弱まったのかもしれない。国民の勢力が一歩すすめば、彼等は自然一歩退かねばならぬ次第だから、やがては彼等の力も消滅してゆくであろう。それならば強いて自分が議場にいる必要もないわけだ。わしの苦心はこの一点だ」

そういって正造は眠るように目を閉じた。その不動の姿を眺めながら、左部は地底深く縦横に根を張っている大樹の姿を思った。大丈夫の苦心というものは、想像も及ばぬところに根を下している。しみじみとそうした感慨を深くした……いつか樋をつたう春雨の音がしずかに聴えていた。

やがて正造はこの日の心懐を行動に移した。すなわち四月十三日「歳費を辞する届書」を懐にして衆議院へ俥を乗りつけ、書記官に面会してその進達を依頼した。書記官は眼鏡の裏で迷惑そうに瞬きながら、

「例の議院法中改正法律案はまだ御裁可がないのです。どうもこれはお預りするわけにもゆきません」

と、軽くあしらうような微笑をもらした。正造はそれを睨みつけて、

「いや、たとえ法律が発布されなくても」と胸を前へせりだした。