Classici giapponesi con furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Leggi 渡良瀬川 (わたらせがわ) di 大鹿 卓 (おおしかたく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 280.528 caratteri · 557 schermate
鉱毒の前はね、……田地も二町余も持ってましたが、それが一畝もなくなって、食うこともできなくなったもんだから、それを苦にして八年前から気が変になりました。……毎日々々、なにもとれねえ、何もとれねえと怒りながら、方々を泣いて歩くのが哀れでして……」
おくまが涙を拭うと、胸の肋骨にとりついていた赤子が急に泣きだした。
「食うものを食いませんから、乳が出ねえで難渋します」
母親の歎きばなしに、八ツの男の子まで傍でしきりに目をこすりだした。その母親も胃病で働けず、惣領が日に十五銭、弟が十銭ほどのわずかな稼ぎで、一家が湯なり粥なりすすっているという。学校はときけば、
「学校へやっておけば、ほし殺しになるからやりやしねえです。今は麦蒔の助けに行ってますが、冬になったらどうしたらよかろうかと思っているのです」
一行の婦人たちが「子供のうち一人か二人、東京へ出す気はありませんか、教育してさきざき親の助けになるようにしてあげるが」と口々にすすめたが、「だが、親の膝から離すのも可哀そうだが」と、さすがは女同志で惻隠も細かであった。するとその言葉の下から、おくまが、
「いいえ、可哀そうどころか、どこへでもやりてえ、どこへでもやりてえ」