Classici giapponesi con furigana
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うずまけるからすのむれ
渦巻ける烏の群
黒島 伝治
Leggi 渦巻ける烏の群 (うずまけるからすのむれ) di 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.240 caratteri · 35 schermate
「おや、早や、寝る筈はないんだが……」彼はそう思った。そして、鉄条網をくぐりぬけ、窓の下へしのびよった。
「今晩は、――ガーリヤ!」
――彼が窓に届くように持って来ておいた踏石がとりのけられている。
「ガーリヤ。」
砕かれた雪の破片が、彼の方へとんで来た。彼の防寒外套の裾のあたりへぱらぱらと落ちた。雪はまたとんできた。彼の背にあたった。でも彼は、それに気づかなかった。そして、じいっと、窓を見上げていた。
「ガーリヤ!」
彼は、上に向いて云った。星が切れるように冴えかえっていた。
「おい、こらッ!」
さきから、雪を投げていた男が、うしろの白樺のかげから靴をならしてとび出て来た。武石だった。
松木は、ぎょっとした。そして、新聞紙に包んだものを雪の上へ落しそうだった。
彼は、若し将校か、或は知らない者であった場合には、何もかも投げすてて逃げ出そうと瞬間に心かまえたくらいだった。
「また、やって来たな。」武石は笑った。
「君かい。おどかすなよ。」
松木は、暫らく胸がどきどきするのが止まらなかった。彼は、武石だと知ると同時に、吉永から貰った金で、すぐさま、女の喜びそうなものを買って来たことをきまり悪く思った。