Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うずまけるからすのむれ

渦巻ける烏の群

黒島 伝治

Leggi 渦巻ける烏の群 (うずまけるからすのむれ) di 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.240 caratteri · 35 schermate

Aozora Bunko

松木は、その手つきがものなれているなと思った。

「呉れ。」コーリヤは手を動かした。

でも、その手つきにいつものような力がなく、途中で腰を折られたように挫けた。いつも無遠慮なコーリヤに珍らしいことだった。

武石も、物を持って来て、やっているんだな、と松木は思った。じゃ、自分もやることは恥かしくない訳だ。彼はコーリヤが遠慮するとなおやりたくなった。

「さ、これもやるよ。」彼は、パイナップルの鑵詰を取出した。

コーリヤはもじもじしていた。

「さ、やるよ。」

「有がとう。」

顔にどっか剣のある、それで一寸沈んだ少年が、武石には、面白そうな奴だと思われた。

「もっとやろうか。」

少年は呉れるものは欲しいのだが、貰っては悪いというように、遠慮していた。

「煙草と砂糖。」松木は、窓口へさし上げた。

「有がとう。」

コーリヤが、窓口から、やったものを受取って向うへ行くと、

「きっと、そこに誰れか来とるんだ。」と、武石は、小声で、松木にささやいた。

「誰れだな、俺れゃどうも見当がつかん。」

「這入りこんで現場を見届けてやろう。」

二人は耳をすました。二つくらい次の部屋で、何か気配がして、開けたてに扉が軋る音が聞えてきた。