Classici giapponesi con furigana
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ゆなのたましい
湯女の魂
泉 鏡花
Leggi 湯女の魂 (ゆなのたましい) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.936 caratteri · 55 schermate
女は慇懃に手を突いて、
「それでは、お緩り御寝みなさいまし、まだお早うございますから、私共は皆起きております、御用がございましたら御遠慮なく手をお叩き遊ばして、それからあのお湯でございますが、一晩沸いておりますから、幾度でも御自由に御入り遊ばして、お草臥にも、お体にも大層利きますんでございますよ。」
と大人しやかに真面目な挨拶、殊勝な事と小宮山も更り、
「色々お世話だった。お蔭で心持好く手足を伸すよ、姐さんお前ももう休んでおくれ。」
「はい、難有うございます、それでは。」
と言って行こうとしましたが、ふと坐り直しましたから、小宮山は、はてな、柏屋の姐さん、ここらでその本名を名告るのかと可笑しくもございまする。
すると、女は後先をしましたが、じりじりと寄って参り、
「時につかぬ事をお伺い申しまして、恐れ入りますが、貴方は方々御旅行をなさいまして、可恐しい目にお逢い遊ばした事はございませんか。」
小宮山は、妙な事を聞くと思いましたが、早速、
「いや、幸い暴風雨にも逢わず、海上も無事で、汽車に間違もなかった。道中の胡麻の灰などは難有い御代の事、それでなくっても、見込まれるような金子も持たずさ、足も達者で一日に八里や十里の道は、団子を噛って野々宮高砂というのだから、ついぞまあこれが可恐しいという目に逢った事はないんだよ。