Classici giapponesi con furigana
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たきぐち
滝口
山本 周五郎
Leggi 滝口 (たきぐち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.815 caratteri · 99 schermate
「なにを待っているか、という返辞はまだ聞けないのかね」
芳村は一升徳利の酒を、二つの燗徳利に移した。安宅と同じように、芳村もあまり量は飲まないらしい。半刻ちかくも経っているのに、酒はまだそれほど減ってはいなかった。こういうふうに転落してきた人間は、自分の転落してきたことを看板にのんだくれるものだ。と安宅は思い、同藩の侍たちにも幾人かそういう男がいたことを、心の中で数えてみた。だがこの芳村はそうではない。おりうのために家を潰し、侍であることも捨てながら、やけになったり、のんだくれることで自分を悲愴にみせかけようとしたりはしない。するとこの男は本気なんだ、本気になってなにかを待っているんだな、と安宅は思った。
「自分を弁護するわけではないが」と芳村は云った、「おりうのために身をほろぼした者がいること、おりうには近よらないほうがいいと、あなたに忠告したことに嘘はないんです」
「それならどうして袖ヶ崎へゆかせなかった、たとえ身をほろぼす男がもう一人できても、そこもとには関係のないことだろう」
芳村伊織は十拍子ほど黙っていて、それからおもむろに云った、「嫁菜という草がありますね、こちらではなんというか、江戸にいたころ野がけにいって摘んできて、浸し物にしたり、めしに炊きこんだりして食べた覚えがあります」