Classici giapponesi con furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Leggi 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.395 caratteri · 263 schermate
湖水のように見える、混凝土の舟待ちには、街灯が一つ長い影を引いている。
しかし船員は、纜を捲きながら、暗い水のうえを覗き込んで、
「ああ旦那、お客様ですぜ。舟も終発なら、この仏様にも返り車がねえときた。ひでえこんだ、こりゃ、推進機にやられたらしいな」
ギラつく脂のなかで、その全裸の屍体が男であると分った。首はなく、推進機の打ち込んだ、無数の切り傷が全身にわたって印されていた。やがて、肩口に縄をつけて、舟待ちに引きあげた。
下腹は、わけてもパックと口を開けていて、そこから、淡い藤色をした小腸の端がのぞいている。
船員は、群れてくる船蟲を、揮発油で防ぎながら、
「ねえ旦那、こりゃ他殺でしょうかねえ。きょう日は、裸で涼むような、時候でもねえんだし……」
「サア、そりゃ、どうとも分らんよ」
その若い巡査は、雨沫を浴びて、黙然と腕組みをしている。
「とにかく、検屍をうけなきァならん。君、帰ってせっかく休みたいところを気の毒だが……」
するとその時、足を小流れのなかに突っこんだまま、凝っとその様子を見ている男があった。それは、遠くから見たら、幽霊かとも思われるような、影を、流れにちらつく街灯の灯のなかに倒している。