Classici giapponesi con furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Leggi 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.395 caratteri · 263 schermate
検事は、鉄梯子を先に上って行く、法水の背後から声をかけた。
「まったく、殉教的な精神でもなけりゃ、こんな事件にはめったに動けんと思うよ。なにしろ、ほんの極微ぽけな材料だけで、極大の容積を得ようというんだからね。
第一、犯罪史にかつて類のなかった海底ときて、しかも、現場は三重の密室だ。それに兇器がそこから、風みたいに消え失せている――いや扉の鍵孔にも、外側から覆いがあるんだからね、風でさえも抜けられんという始末だ。そして、僕らの眼前で、あの殺人鬼は創口に孔を明け、まんまと鼻をあかしているんだ。
だから、だんだんに深入りしていくと、なにか旧の夢の中に戻ってゆくような気がするんだぜ」
法水は、検事の手を取って引き上げてから、海気を胸いっぱいに吸い込んだ。そして、すこぶる激越な調子で云った。
「いやこの事件の解決は、つまるところ、一つの定数を見出すにあるんだ。
で、その一つというのは、かつて『鷹の城』の遭難中に、艇長と四人の盲人とをめぐり、いったい何事が行われたか……ということだ。
艇内日誌を見ても、その部分はことごとく切り取られている。ねえ支倉君、たしかあの中には、この事件の暗黒を照らしだすような、重要な一、二枚があるにちがいない。