Classici giapponesi con furigana
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しょうねん
潤一郎ラビリンスI――初期短編集
谷崎 潤一郎
Leggi 潤一郎ラビリンスI――初期短編集 (しょうねん) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.319 caratteri · 84 schermate
「成る程、これは結構な香でげすな。おゝ好い匂いだ、胸がすっとします。」
と、三平はさも気持が好さそうに、小鼻をひく/\させます。
「さあ、もう好い加減で堪忍してやろう。」
旦那が耳元でぴたッと手を叩くと、彼は眼を丸くして、きょろ/\とあたりを見廻し、
「到頭かけられちゃった。どうもあんな恐ろしいものはごわせんよ。何か私ゃあ可笑しな事でもやりましたかね。」
こう云って、漸く我れに復った様子です。
すると、いたずら好きの梅吉と云う藝者がにじり出して、
「三平さんなら、妾にだってかけられるわ。そら、もうかゝった! ほうら、だん/\眠くなって来てよ。」
と、座敷中を逃げて歩く三平を追い廻して、襟首へ飛び附くや否や、
「ほら、もう駄目々々。さあ、もうすっかりかゝっちまった。」
こう云いながら、顔を撫でると、再びぐたりとなって、あんぐり口を開いたまゝ、女の肩へだらしなく靠れて了います。
今度は梅吉が、観音様だと云って自分を拝ませたり、大地震だと云って恐がらせたり、其の度毎に表情の盛んな三平の顔が、千変萬化する可笑しさと云ったらありません。
それからと云うものは、榊原の旦那と梅吉に一と睨みされゝば、直ぐにかけられて、ぐたりと倒れます。