Classici giapponesi con furigana
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みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Leggi 澪標・落日の光景 (みおつくし) di 外村 繁 (とのむらしげる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.889 caratteri · 268 schermate
享年、四十六である。
「今生に、いかにいとをし不便とおもふとも、存知のごとくたすけがたければこの慈悲始終なし」という「歎異鈔」の文意を、私は初めて感得した。
翌年、私は今の妻、貞子を知り、結婚した。私は四十八、貞子は三十九である。
私は先妻を亡くして慟哭した。その反動のように、私は今の妻を熱愛する。世間の人はそんな私を嘲笑する。というより、むしろ滑稽視する。全く当然である。阿呆なのである。阿呆と言われるのは当然のことである。
私はこの慈悲の始終ないことは、徹底的に知らされている。泣くことの空しいと同様、愛することも至って空しい。しかし私は、私の妻への愛は、人間の愛そのものの否定の上に立っている、などと、ゆゆしげな理窟は言わない。愛などというものは悟りの中から生れるものではなく、むしろ迷いの中から自然に湧き出るようなものなのだから。
言うならば、私の愛は、私という人間の無力さを痛感した、その低圧力の中へ、自然に、物理学的に滲透したのである。等しく私の力ではどうなるものでもない。唯異るところは、青年期のように無我夢中ではなく、年齢がそんな自分を客観視できることである。