Classici giapponesi con furigana
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はなかみろうにん
濞かみ浪人
吉川 英治
Leggi 濞かみ浪人 (はなかみろうにん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.425 caratteri · 39 schermate
『庄左衛門の行状など、分っている限りのことは、吾々からも、源吾殿を通じて、お耳に達してあるしな』
『はははは。ざまを見ろというものさ。――今宵の婚礼などには、この通り、誰も列しないつもりだ』
と、言葉の餞別も、賑やかだった。数右衛門は、黙々として、藩邸を出た。非番の者だけが十二、三名、霊岸島まで見送ると云って、彼と一緒にぞろぞろと肩を押し並べてゆく。
海路、摂津から四国へ行く便船は、こよいの八刻の上げ潮に纜を解くというので、夕方の船着場は、積荷や客の送別で雑閙していた。
『早かったなあ』
『ウム、ちと早かった』
『ちょうどよいではないか。数右衛門の行を祝って、どこかで別盃を酌むには』
近くの磯茶屋で、そのまま歓送の宴が張られた。遅れ走せに見送りに来た藩士も加えて、人数はいつか二十名近くにもなっている。
『あっちの婚礼に負けるな』
と、酒がまわると、誰かが云い出して、誰の歓送やら日頃の鬱を晴らすやら分らない騒ぎになった。数右衛門も初めは浮かなかったが、盃が重なるにつれて、ぽっといつもの顔になり、しまいには、国許で大野九郎兵衛から譴責を喰ったお囃子の真似や、裸踊りまでやり出して、江戸詰の人々との、当分のあいだの惜別も遺憾なかった。