Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひのついたかかと

火のついた踵

宮本 百合子

Leggi 火のついた踵 (ひのついたかかと) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.781 caratteri · 34 schermate

Aozora Bunko

幕開く。

みさ子、谷、上手の方から悠(ゆっ)くり連立って出て来る。

みさ子 あの薔薇だって、爺やが丹精してくれるから綺麗に咲いたのよ。私も、奥平もいっこう構わないんですもの。

谷  ここはいつも気持がようござんすね。(四辺を見廻し、腰架に掛ける)

みさ子 (離れて立ったまま)英一さんはどうしたんでしょう、直ぐ来るって云いながら――

谷  奥平さんに用があるんでしょう。(皮肉な調子)

みさ子 奥平に? そう? ちっとも知らなかったわ。それならそうおっしゃればいいのに――。妙な人!

谷  そう、くささずに置いてお遣りなさい。あの男は、あなたのことといえば、真剣なんだから。

みさ子 ――(意味を解しかねて谷の顔を見る)

谷  僕が、あなたに勝手な熱を吹くと思って、お冠を曲げたのですよ。然し……あの男の思うほど、僕は「不良」じゃあありませんよ。これでも――(調子を変え)実際、今日のような話が、あなたと出来るとは思いませんでしたね。

みさ子 (谷の心持が解らず)どうして?――別に、何にも、人間のしない話をしたのじゃあないわ。

谷  ――一年昔のあなたは、幸福過て、思いのままでありすぎて、僕なんかには眩しいようでした。