Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
はいいろのきおく
灰色の記憶
久坂 葉子
Leggi 灰色の記憶 (はいいろのきおく) di 久坂 葉子 (くさかようこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 65.588 caratteri · 132 schermate
腕章をつけることが大へん嬉しくて、家へ帰っても取りはずさなかった。担任の先生は、大人しい若い男の人だった。で私達は教室でさっぱり真面目にしなかった。ノートの後側から、紙をびりびり破ってゆき、それに手紙をかいて、授業中渡し合ったり、先生が黒板の方をむかれる度に、御べんとうを口の中へ投げ入れたりした。それから、少しずつ恋愛小説をよみ出した。三階のよく日のあたる三方窓の教室の隅で、単行本や雑誌を交換し合った。
私はその秋に、一年上の男生徒に好意を持ちはじめた。彼は支那風の大きな邸宅に住む坊ちゃんで青白い顔をしていた。学芸会に独唱をしたり劇に出たりした。その声が、りんりんとしており講堂の隅で下稽古の時こっそりきいて夢中になってしまった。ラクダ色のセエータの下に真白い清潔なシャツをつけており腕時計をはめていた。小学生で腕時計をはめたりする人は極まれであった。私は、廊下で行き合ったりする時、ピカッと光るその時計が、彼を非常に偉いもののように仕立て上げるのを感じた。そのうち、彼の持物を掠奪してみたい気持になった。時計。それはあまり貴重品でそれに掠奪すればすぐにわかってしまう。