Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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むめいさっかのにっき

無名作家の日記

菊池 寛

Leggi 無名作家の日記 (むめいさっかのにっき) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.441 caratteri · 43 schermate

Aozora Bunko

が、実際そうした場合は、容易にあり得ることだ。天分にいちばん自信のない俺は、そんな場合を想像することを、努めて避けようとしている。しかるに、山野は俺や俺と同様に自信の薄い杉野などを、嫌がらせるために、そんな皮肉な場合を想像して喜んでいたのだ。

唯一人、取り残される! それは考えてみても、淋しいことに相違なかった。俺は、東京にいて、山野や、桑田などと競争的になるのが、不快で堪らなくなった。彼らから間断なしに受ける、不快な圧迫から逃れるだけでも、俺にとってどれだけいいことかわからなかった。京都に来て、彼らとまったく違った境遇におれば、彼らに取り残された場合にも言い訳はいくらでもある。また、京都に来たために、文壇に出る機会が、かえって早められるかも知れぬ見込みが、朧げながらあった。それは中田博士が、京都の文科の教授であることであった。博士は、もうよほど、文壇の中心から離れている。がそれでも文壇の一部とはある種の関係がある。博士の知遇を得さえすれば、案外早く文壇に紹介されて、俺の天分をあくまで軽蔑している山野などを、あっといわせてやることも、決して不可能でない。