Classici giapponesi con furigana
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むだい(いち)
無題(一)
宮本 百合子
Leggi 無題(一) (むだい(いち)) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 20.502 caratteri · 41 schermate
母親も祖母も不思議な物語の様な話に耳をそば立てました。朗な声の調子は丁度奇麗な物語をよんでいる様に様々の事を話して行きます。やがて話はおわってお婆さんは息を深くしていいました。
婆「貴方は幸なお子じゃ、きっと偉い詩人におなりじゃろう」
母「ほんとうにおはげみなさい、幸の多い子ですこと」とよろこばしそうに云って又もう一つブドウをつまみました。詩人はだまって手をふきました。頬には紅がさしています。しばらく立って詩人は私は書かなくてはなりませんからと云って桃色の燈火の美くしい部屋に入って鵝ペンにインクをふくませました。目は上を見て手は生き物のようにみどりのラシャの上によこたわっています。そのやわらかい胸の中には何かうかびました。白い紙の上に一字、しなやかな美くしい字がそめられました。又一字、また一字、二枚の紙は美くしい文字にうずまり、また一枚も一枚も、テーブルの上には四枚の紙が黒い文様をつけて散りました。そうするとどこかで美くしい歌の声がきこえます。筆の行かなくなった詩人の耳はその方にかたむきました。乙女らしい細いやわらかいふるえる声はやみの中にしめってつたわって来ます。