Classici giapponesi con furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate
」
出羽は、頭巾のなかから不審気に、
「女髪何と仰せられたな? 何でござる、その、女髪云々というのは。」
「あれ!」と千浪はびっくりして、「あなた様は、あの女髪兼安のことをお忘れになったのでございますか。」
と、出羽が腰から抜いて、背後へ置いた佩刀のほうへ首をさし伸べた。
まごついた出羽が、
「おおそうであったな。うむ、この刀のこと、さよう、さよう。」
大声に笑うと、かれ出羽ふっと話題を変えて、
「久し振りだのう。うう――何と言われたかな?」
「何とと申しまして。何がでございます。」
「そなたの名だ。」
「あっ!」
と、叫んで、千浪が逃げるように、思わず背後へ反った拍子に、ぬっと伸びて来た出羽の手が、彼女の手首へかかった。
「名なぞ何でもよい。山でそちを見かけた時分から――。」
はっと千浪は思い出して阿弥陀沢の猿の湯で、父法外を手にかけた後、自分を捕えて、あの山腹の花畑まで伴れて逃げた白覆面の武士!
あの人であったのか?
なんという不覚! と、彼女が飛び退こうとすると、出羽は片手で、ぐっと千浪を手許へ引き寄せながら、片手を弥四郎頭巾の裾へ掛けて、
「そちの慕うておる良人の顔を見せてやろうか。