Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate

Aozora Bunko

わっはっは、わっはっは。」

三国ヶ嶽の麓に住む、年古りた猿のような笑い声が、その出羽守の頭巾を洩れ、白衣に包まれた肩が、怪しい笑いに大きく揺れる。

はっ! と刀を持つ手を宙に凍らせた大次郎は、思わず一歩退って、

「ううむ! おい、文珠屋、悪いところを押さえられてしまったな。」

これも脇差を抜いて、そばに構えていた文珠屋佐吉、

「これはちと困った。手の出しようがねえ。」

その間も出羽守の笑いは、高々と響いて、

「そちがおれを斬ると同時に、おれはこの女を刺し殺す。この女とおれと、二つの死骸が重なれば美男美女の心中というものじゃ、ははははは、どうした。かかって来ぬか。」

ひっそりとした室内に、三人の荒い息づかいが聞えるだけで、千浪は何事も知らずに、うつらうつらと夢心地でいるらしく、肩のあたりが、優しい呼吸に動いているだけで――。

このままではいつまで経っても睨み合いが続くだけで、どう結末がつこうとも見えなかった。

出羽守は、立ちはだかったまま、その千浪の寝姿の上に跨がり、真珠のような美しい首に、刀の斬尖を一、二寸上に止めて、頭巾のなかの眼を上眼づかい、じっと大次郎と佐吉へ視線を凝らしているので。