Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate

Aozora Bunko

用いたら、必ず富豪ともなり得よう。そして利七は、山育ちだけれど、きりりとして苦み走った、まことに好い男で、色慾煩悩の籤を当てた時、

「ありがたい! 天下晴れて女狂いができる。」

額部を叩いて笑った。

三国ヶ嶽の三国神社から、三つの道が三方に下って、甲斐、駿河、相模へと、人間社会へ伸びている。

三人の親友は、その三つの下山口をとって、瓢々乎として三国へ散ったのだった。ひとりずつ煩悩の分け前を追って――大次郎は相模路へ。佐助は駿河国へ。利七は甲州へ。

が、三人とも、流れ流れて間もなく、いずれは煩悩の溜り所、江戸へ入り込んだに相違ない。

その、別れる時の、もう一つの申し合わせは。

今度、必ず七年目ごとの今月今日、七月七日に、三人、この三国ヶ嶽の絶項、三国神社の境内で落ち合い、その後の身の上を語り合って、連絡をつけようということ。

そして、そのあいだの七年間は、音信不通。各自、道につとめて、たとえ街上で行き会っても、言葉をかけること無用たるべし。互に生死も不明のまま、七年目七年めの七月七日に、忘れなく三国ヶ嶽で――会う。かならず、会う。こういう三羽烏の生命をかけた起誓である。