Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate

Aozora Bunko

湯へ湯治に来ているのだった。

悪遊びと乱行が、骨の髄まで染み込んでいる出羽守は、市井無頼の徒のようになっていて、この側近の臣に対しては、あまり主従の別を置かないのである。

ぐっと砕けてでて、まるで友達扱い。

それにはまた、この取巻きに要領の好いのばかりが揃っていて、殿のこの気性をすっかり呑み込んで、よくないことにすべて御相伴にあずかるといったふうだから、この傾向はいっそう助長されるばかり、ことに今は、世を忍んで入湯に来ていて、宿にさえ身許を明かしてないのだから、さながら旅の浪人者の一団、出羽守はその中でのいささか頭分と見えるだけだ。

府中あたりの田舎浪士が、気楽な長逗留という触れ込みで、藤屋でも、この一行の身分は知らないのである。

ひとつには、今いった、やくざの寄合いのような一同の態度物腰と、もう一つは、祖父江出羽守、寝ても覚めても白の弥四郎頭巾をかぶっていて、ついぞ顔を見せないからで――。

前の谷の猿の湯へは、必ず真夜中に、そっと一人で降りて行く。

日中は、ざしきの片隅の屏風のかげに、例の弥四郎頭巾に面体を包んで、長身のからだを横たえたきり――これでは、宿のものにも里人にも、何者とも知られようがないのに不思議はない。