Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate

Aozora Bunko

傷は、背中に深く一太刀――たいしたことはなかった。出羽は、平気だった。血の垂れる肩下へ手を廻し、立ち騒ぐ侍臣たちを制して、

「おれを斬るとは面白い女、ははははは――。」

と、いつものように、たかだかと哄笑を噴き上げていたが。

美しき残骸

豪放なところのある出羽守である。捕まれば、女の命はないにきまっている。殺すのも不憫と思ったものか、逃がしてやるつもりだったのだろう。

「なんのこれしきのことに、騒ぐなっ!」

家臣らを押さえている間に、小信は闇黒を縫って庭伝いに屋敷を落ち延びたのだ。

大名が寝所で妾に斬られた。人に話もできない。この噂が世上に拡まれば、殿様はもちろん、祖父江藩の名折れになるばかりか、公儀の耳に入ったとなると、ただではすまない。どのみち、いい物笑いの種を播くのは知れたことなので、小信を斬ればその評判も立ちやすいと、そこですべてを内証に葬る考えから、出羽守、とっさに思案して家来たちを取り鎮め、それとなく、彼女に脱出の機会を、与えたのかもしれなかった。

そして、極秘のうちに背の刀傷を癒すべく、山路主計、中之郷東馬、川島与七郎、北伝八郎など、気に入りの側近のみを伴れて人知れず、金創に霊顕ありとすすめる者のあったままに、あのあみだ沢の猿の湯へ湯治に行ったのだった。