Classici giapponesi con furigana
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くまのでるかいこんち
熊の出る開墾地
佐左木 俊郎
Leggi 熊の出る開墾地 (くまのでるかいこんち) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.070 caratteri · 31 schermate
若い女は軽い微笑の顔で、静かに頷くのだった。若い農夫は、一時に全身の血の湧き上がって来るのを感じた。
若い農夫は樹の陰から、五匁玉を罩めた銃口を馬車の上に向けた。彼の心臓は絶え間なく激しい動悸を続けていた。そして、狙いを定めているうちに、馬車はごとりと揺れ、ぎしぎしと軋めきながら方向を更えた。同時に密茂した樹木が車体を隠した。――一面の落ち葉で、どこが路なのか判然とはわからないのだった。馭者は樹と樹との間が遠く、熊笹のないところを選んでは馬首を更えた。その度ごとに偶然にも、馬車は急転して銃口から遁れるのだった。遁れては隠れ、遁れては樹の陰に隠れるのだった。
幾度も同じような失敗を繰り返しながら、若い農夫は猟銃を構えて、馬車の上を狙いながらその後を追いかけた。馬車は、午後の陽に輝きながら散る紅や黄の落ち葉をあびながら、ごとごとと樹の間を縫って行った。青年は兎のように、ひらりひらりと、大木の陰に移りとまっては、そこから馬車の上に銃口を差し向けるのだった。
突然、山時雨が襲って来た。深林の底は急に薄暗くなった。馬車の上の人達はあわてて傘を翳した。時雨は忍びやかに原始林の上を渡り過ぎて行った。