Classici giapponesi con furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Leggi 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.309 caratteri · 144 schermate
其処には私たちの他に、もう一組、片隅の長椅子に独乙人らしい一対の男女が並んで凭りかかりながら、そうしてときどきお互の顔をしげしげと見合いながら、無言のまんま菓子を突っついているきりだった。その店の奥がこんなにもひっそりとしているのに引きかえ、店先きは、入れ代り立ち代りせわしそうに這入ってきては、どっさり菓子を買って、それから再びせわしそうに出てゆく、大部分は外人の客たちで、目まぐるしいくらいであった。それも大抵五円とか十円とかいう金額らしいので、私は少しばかり呆気にとられてその光景を見ていた。それほど、私はともすると今夜がクリスマス・イヴであるのを忘れがちだったのだ。
私はなんだかこのまんま、いつまでも、じっとストーブに温まっていたかった。しかし私は旅行者である。何もしないで、こうしてじっとしていることも、後悔なしには、出来ないのである。
やがて若い独乙人夫婦は、めいめい大きな包をかかえながら、この店を出て行った。JUCHHEIMと金箔で横文字の描いてある硝子戸を押しあけて、五六段ある石段を下りて行きながら、男がさあと蝙蝠傘をひらくのが見えた。私は一瞬間、そとには雪でも降りだしているのではないかしらと思った。