Classici giapponesi con furigana
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ちち
父
金子 ふみ子
Leggi 父 (ちち) di 金子 ふみ子 (かねこふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.107 caratteri · 21 schermate
ではこの頃彼は何をしていたのだろう。今に私はそれを知らない。ただ私は、いろんな荒くれた男がたくさん集まって来て一緒に酒を呑んだり、「はな」を引いたりしていたことや、母がいつも、そうした生活についてぶつぶつ呟き、父といさかいをしていたことを知っているばかりだ。
おそらくこういう生活がたたったのであろう。父はやがて病気になった。そこでなんでも母の実家からの援助で入院したとかで、母はその附添いになり、私は母の実家に引きとられた。そして半年余り、私は実家の曾祖母や小さい叔母たちに背負われて過した。父母に別れたのにも拘らず、その幼い私は、この間わりあい幸福であったように思う。
父が恢復すると、私はまた父の家に引きとられた。その時は私たちは海岸に住んでいた。それは父の病後の保養もあり、弱い私の健康のためでもあったのである。
そこは横浜の磯子の海岸だった。私たちは一日じゅう潮水に浸ったり潮風に吹かれたりして暮した。そしてその時を境として、私の肉体は生れ変ったように健康になったということである。それは私を幸福にしたのだろうか、それとも、私を来るべき苦しみの運命に縛りつけるための、自然の悪戯であったのだろうか、私にはわからない。