Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

いちろうじん

犬田卯短編集二

犬田 卯

Leggi 犬田卯短編集二 (いちろうじん) di 犬田 卯 (いぬたしげる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.383 caratteri · 103 schermate

Aozora Bunko

紳士は五円を受取ると丁寧に礼を言って、どこかへ去って行った。

仙太は重い金時計を懐中へ押し込んで、再び柵のところへやって来たが、しかしもう馬の興味は起って来なかった。タカムラが、ひいきの馬が、みごとに勝ったんだ! それでよかった。これからまだ少し時間もあるから、この金時計を塚田屋へ持って行って金にかえよう。

塚田屋というのは彼の知り合いの時計屋である。最近地金の騰貴につけ込んで、入歯でも金時計でも万年筆でも、金と名のつくものなら何でも買入れていることを彼は知っていたのだ。

塚田屋の店先へ行ってみると、四五人の百姓と一人の巡査がいた。巡査は今の今、誰かに呼ばれて、競馬場の方からやって来たものらしく、自転車を下りたばかりだった。

仙太は傍らからのぞき込んだ。塚田屋は時計師らしく前額の禿げ上ったてらてらした頭をうつむけて、丹念に一個の金時計を眺めていた。

――てんぷらもてんぷら、ひどいてんぷらだ。

それから巡査の姿を見つけて妙に笑いながら、

――どうぞ! と言って席をつくった。

てんぷら! と聞くとそこにいた百姓達の顔がさっといちどきに蒼ざめた。瞬間、口をきくものがなかった。