Classici giapponesi con furigana
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いちろうじん
犬田卯短編集二
犬田 卯
Leggi 犬田卯短編集二 (いちろうじん) di 犬田 卯 (いぬたしげる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.383 caratteri · 103 schermate
つい、こないだのこと、その神様がここへ寄りましたよ。俄か雨がやって来て、洋傘もなかったらしく、ずぶ濡れになってしまって飛び込んで来たンでしたが、ちょうどそこに、××から蟹を商いにやって来たおいささんという女のひとが、やはり雨宿りしていたんですよ。おいささんはもう十年ばかり後家を通している働きもんでね、いくらか小金もためているという評判もあるンですがね。あれで少し顔でも人並みだと、まさか誰だってああして一人じゃ置きますめえがね……なにしろあのご面相じゃ……でもまだ若いんですよ、三十を越したばかりでしょ。まアそれはとにかく、おいささんが、今晴れるか晴れるかと思って、空ばかり見ているもんだから、神様もはじめは黙って、着物なんか拭いていたっけがね、「おッ母、酒一ぱいつけろ!」っちから、つけてやると、それを旨そうに飲んで、急にご機嫌になっちまってね、どれ、姉さん、手の筋見てやっぺ……なんて、こう、ぐいッとおいささんの方へ寄り添っちまってね、おいささん、びっくらして、ぽかんとしているのもかまわず、手のひら引っくりかえして、ふう、ふう、姉さんは……っちわけだっけね。