Classici giapponesi con furigana
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きつね
狐
永井 荷風
Leggi 狐 (きつね) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9770 caratteri · 20 schermate
私は覚えず柔い母親の小袖のかげにその顔を蔽いかくした。
さて、午過ぎからは、家中大酒盛をやる事になったが、生憎とこの大雪で、魚屋は河岸の仕出しが出来なかったと云う処から、父は家のを殺して、出入の者共を饗応する事にした。一同喜び、狐の忍入った※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)小屋から二羽の鶏を捕えて潰した。黒いのと、白い斑ある牝鶏二羽。それは去年の秋の頃、綿のような黄金色なす羽に包まれ、ピヨピヨ鳴いていたのをば、私は毎日学校の行帰り、餌を投げ菜をやりして可愛がったが、今では立派に肥った母鶏になったのを。ああ、二羽が二羽とも、同じ一声の悲鳴と共に、田崎の手に首をねじられ、喜助の手に毛をられ、安の手に腹を割かれ、腸を引出されて了った。夜更けまで、舌なめずりしながら、酒を飲んで居る人達の真赤な顔が、私には絵草紙で見る鬼の通りに見えた。
眠りながら、その夜私は思った。あの人達はどうして、あんなに、狐を憎くんだのであろう。鶏を殺したとて、狐を殺した人々は、狐を殺したとて、更に又、鶏を二羽まで殺したのだ。
ああ、ツルゲネーフは、蛇と蛙の争いから、幼心に神の慈悲心を疑った。