Classici giapponesi con furigana
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きつね
狐
岡本 かの子
Leggi 狐 (きつね) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6039 caratteri · 13 schermate
――では、正体現すときもあると申すか。
――さあさあ、あの雑司ヶ谷でお目にかかったとき、はじめはそれほどと思いませんでしたけれど、だんだんあなたさまの仕方、なされ方、もし、真実わたくしに誑かされていられるなら、こんないじらしいことはない。したがもし万事承知の上で誑かされたふうをしていられるなら、こんな底気味悪くも頼母しいお方はない、どちらにしても、とつおいつのお慕わしさ、恋しさが募れば化狐より本性の女ごころのうぶに還り、いっそこの上は真実この身の正体をと……。
――どうしたと。
――わたくしは、もとから狐でも夫持ちでもご、ご、ございません。(泣き伏す)
――ばかな女、いや狐だな。今更、それを聞いておれが悦んだり慰んだりすると思うのか。人並の恋がしたけりゃこのわたしとて、今までに随分相手の女もなくはなかった。
――ねたましいことを仰言しゃいます。
――結ぶの恋は破れる恋ともなる。それが判り切った嫌さに、ひとりもので甘藷を噛って、炬燵へあたっている仕儀だ。狐の化けた女というなら、その実体のない美しさに賞でて、一晩位は相手になってつき合う積りだが。
――すりゃ、どうあってもわたくしの正体を知ろうとはなさりませず……。