Classici giapponesi con furigana
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おおかみのかい
狼の怪
田中 貢太郎
Leggi 狼の怪 (おおかみのかい) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5063 caratteri · 10 schermate
「お嬢さん、お客さんにも、お愛想をなさるものですよ」
乳母はこう言って注意すると、女は気が注いたように章の方を見て、顔を赤くして箸を置いた。
「お嬢さんはほんとにねんねえでございますからね、でも考えてみますと、お嬢さんはお気の毒でございますよ、旦那様は立派な方でございましたが、都合があってお嬢さんが生れたばかりの時、この山へお入りになりましたが、間もなく旦那様も奥様もお嬢様を残して、お歿くなりになりましたから、私がこうして一人でお世話をしております」
乳母はしんみりとした態度になって言いはじめた。
「お嬢さんは、もう十七でございますから、よい処がございますなら、嫁づけたいと思います、そうなれば、私の重荷もおりますが、女の手では、思うようにならないで困っております、ほんとにそういう場合には、何人かしっかりした男のお友達が欲しいと思います」
章は乳母が永い間の労苦に同情の眼を向けた。若い彼は酒のために非常に感情的になっていた。
「そうですか、それはたいへんでしたね」
「なに、私もおよばずながら、旦那様と奥様に、御恩報じをいたしたいと思うてやっておることでございますから、苦しいとも何とも思いませんが、時たま、女ばかしでは困るので、貴方のような、若いしっかりしたお友達があるならいいがと、思うことがあります、どうかこれを