Classici giapponesi con furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Leggi 猟奇の果 (りょうきのはて) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 134.971 caratteri · 270 schermate
すると、青年はポケットから一巻きの繃帯を取出して、まるで怪我人みたいに、彼の目から頭部にかけて、グルグルと巻きつけてしまった。普通の目かくしでは、外から見て疑われる心配があるので、繃帯を使って怪我人と見せかけるのであろう。実に万遺漏なき遣り口である。そうして、全速力で三十分ばかり走ると、車が止り、愛之助は青年に手を引かれて、どことも知れぬ石畳みに下車した。
「少々階段を下らなければなりません。足下に注意して下さい」
青年の囁き声と共に、もう石段の降り口に達していた。非常に長い石段であった。降りては曲り、降りては曲りして、充分二丈程も地下に下った様子である。
やがて、広々とした平地に出た。そこはもう石畳みではなくて、ツルツル辷る板張りの床になっていた。
「御辛抱でした」
青年の声がして、頭の繃帯がとられて行った。目かくしがとれて眺めると、さっき宿を出て歩いた道の、はれがましい白昼の明さに引かえて、そこは、陰々とした地底の夜の世界であった。
十坪程の簡素な板張りの、アトリエ風の洋室で、電燈はついていたけれど、物の怪の様な非常に多くの陰影が群がって、一種異様な別世界の感じを与えた。