Classici giapponesi con furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Leggi 猟奇の果 (りょうきのはて) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 134.971 caratteri · 270 schermate
邸の表門裏門に見張りのついたことは申すまでもない。
さて、罷業五日目の夕方のことである。
重役会議を終えて帰宅した常右衛門氏は、心配に蒼ざめた家族達の出迎えを受けて、彼の私室に這入って行った。
美しく分けた白髪、身体に比べて大きな赤ら顔、だが連日の心労に、額の皺に痛ましいやつれが見える。
彼は服を着換えることも忘れて、そこの大ソファに、グッタリ身を沈め、小間使の差出す冷い飲物を受けた。
「あなた、御風呂が立って居りますが、のちに遊ばしますか」
夫人も従って来て、気遣わしげに、主人の表情を読む。
「ウン」
常右衛門氏は、生返事をして、何をか考えている。空ろな目はテーブルの上の一通の手紙に注がれたままだ。
夫人も小間使も、手持無沙汰の数秒間。
やがて、常右衛門氏の空ろな目が、ハッと正気に返った様に、鋭い光をたたえる。
「オイ、この手紙は誰が持って来たんだ」
変な型の封筒、見慣れぬ筆蹟、しかもたった一通だけ、テーブルの真中に置いてあるのだ。
「サア、青山じゃございませんかしら」
「青山なら、書斎の方へ持って行く筈だ。それにたった一通というのはおかしい」
宮崎氏は毎配達時間、必ず十数通の手紙を受取る。