Classici giapponesi con furigana
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さるとびさすけ
猿飛佐助
織田 作之助
Leggi 猿飛佐助 (さるとびさすけ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.413 caratteri · 60 schermate
城中でござるぞ、見苦しい。いや、見苦しいのは、それがしが顔。人に見せてもそなたにだけは、夢うつつにも見せられようか。アバタめが、猿の衣裳の裃つけて、歌を読むとて短冊片手に首を振り、万葉もどきの調子をつけて、『アバタめが首を振る振る振るもよし振らざるもよし』などとは、口くさっても言えようか。気が狂うても見せられようか。アバタの穴が消せないままに、極意の秘伝でこの身を消して、雲の上より未練の一声、立つな、叫ぶな、探すな、坐れ。坐って聴けや、この胸の嘆き。猿飛佐助は、そなたの前から、今宵限りに姿を消して、あとは気任せ、足任せ、時には飛行の一足飛びに、日本全土飛び歩く、忍術道中の草鞋をはいて、はいて捨てるは毒舌三昧、ああこれからが面白いが、そなたに別れるこの苦しさは、少し旅寝の枕を濡らそう。楓どの、さらばじゃ」
例によって、妙な調子のあらぬ言葉を残して、上田の城から姿を消した佐助は、歌の会の結果がどうなったか知る由もなく、また知ろうともせず、その夜の内に飛行の術で、飛ぶわ、飛ぶわ、物の怪につかれたように飛んで、丑満の頃には、京の都の東山の上空まで来たが、折柄南禪寺の山門に立ちのぼる陰々たる妖気を見ると、何思ったか、えいと飛び降りた。